先日、幼少期から学生の頃に子役から俳優をしていて、その後エンジニアに転身した後に、起業した社長と会ってきました。
「どんな視点で人を見ているのか?」
「人とチーム・組織の関係を最高にするにはどう考えたらいいのか?」
この視点で気がつけば2時間ほど語っていました。
その社長が俳優をしていた頃に、ドラマや映画に出演する時に行う「役作り」の方法を初めて聞くことができました。
これが面白い内容でした。
話を聞きながら、「これはもしかすると組織づくりでも活用できる話かもしれない」と感じたので、内容について紹介します。
俳優が役作りをする際には、3つのポイントを意識しながら行うそうです。
その役の人間がどんなパーソナル情報を持っているのかを考える
役作りはまずは基本から。
どういう人なのかを台本から分かるパーソナル情報から想像していくのです。
- 年齢
- 住んできた/住んでいる場所
- これまでの学歴や経歴
- よく遊びに行くところ
- 好きな食事
- 好きな服装
- 好きな異性のタイプ
- よくやってしまう仕草
などの項目について想像を巡らせます。
その上で、本人がどんな感情、心境でいるのか、を考えて感じてみる。
これらの情報と想像を元に、どういう表情をして、どんな声のトーンや体の動きをするのかを、細かく考えていく。
役作りの最初の基本はここから入ります。
その役が周りからどう思われているのか
次にその役の周りにいる人が、その役の人をどう思っているのか、を想像してみる。
自分の役だけでイメージの設定しているだけでは、役に深みが出ず、見る人がその役に共感して感情が入り込むのが難しくなります。
自分の役が周りの人からどう思われているのか、という感情も取り入れて役作りをすると、表情や声のトーン、体の動きに「理由」ができるので、演技に深みが出て、見ている人の共感を得られるようになるそうです。
作品全体の流れの中で、その役がどんな期待をされているのかを考える
「ここが一番重要なポイント」と言っていました。
自分の「やりたいこと」でも、周りの「やって欲しいこと」でもなく、その作品全体の流れの中で、その役が「どんな期待をされているのか」を考えてみることが、役作りをする上で最も重要だそうです。
個人、周囲、全体という3つの視点から自分の役を見て、どうしたらその役に入り込み、より良い演技ができるのかを考えられるようになるそうです。
俳優の役作りから、人と組織と会社を考える
最初に挙げた「その役の人間がどんなパーソナル情報を持っているのかを考える」は、マーケティングや人材採用時によく行う「ペルソナ設計」になります。
ターゲットにしたい人の属性や特徴、趣味などを想像して決めることで、「市場に対して」などのようにぼんやりとしたターゲットにならずに、ピンポイントでイメージした「その人」にメッセージを発信できるようになります。
どんな人を採用したいのかが明確に設定できていると、採用活動自体も迷わずに出来るし、面接をする時の迫力が違ってきます。つまり「●●のような人が欲しい。なぜなら▲▲だから。あなたは■■の経験をしてきているので、一緒に働きたい」と自信を持って言えるようになるわけです。
次に挙げたポイント「その役が周りからどう思われているのか」は、組織の状態を把握するために行う「360度評価」や「従業員満足度調査」などの話です。
周囲からの評価を取り入れることで、良かれと思ってやっていることが、本当に期待される成果を出せているのか、を判断することができます。
最後に挙げたポイント「作品全体の流れの中で、その役がどんな期待をされているのかを考える」は、「マーケティング思考」や「人事評価」などの話です。
組織全体から見て、自分がどんな役回りを期待されているのか、という視点を持つことで、自分の役割、仕事の捉え方が変わります。
それに伴い、動き方、コミュニケーションの取り方も変わっていきます。
全体からの期待を見ようとせずに、自分一人のイメージをしているだけだと、期待と実際の差が大きくなります。その差を埋めることが本人の成長につながるし、組織として成果が上がることにつながるわけです。