人事評価で気を付けたい5つのワナ

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CEOの役割

皆さんこんにちは。RECOMOの橋本祐造です。

今回のテーマは「人事評価における5つのワナ」についてです。

人事評価というのは本当にクセ者で、なぜか不思議と、ある程度会社の規模感が大きくなると「そろそろわが社も人事評価制度を入れないと!」と突然社長が言い出したりします。

そのこと自体は現場からも「そろそろ、うちの会社も人を見る軸や、評価のポイント、基準のようなものを決めてもらわないと困る!」という話が出てきたりするので、そういう背景から人事評価を考えていくというのは、とても健全な話です。

しかし、人事評価の捉え方、考え方を間違ってしまうと、なかなか上手く機能しなくなってしまいます。

今回は「人事評価の5つのワナ」というポイントに絞って、お話をさせて頂きます。

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今回のブログを読んで欲しい人

私が人事領域で約15年、色々な会社で経験をしてきた中で思うことなのですが、人事評価とは大変デリケートで、正直に言うと色々な方が大変怒りやフラストレーションが溜まりやすいポイントでもあるのです。

  • なぜこんな評価をされるんだ!
  • そもそもうちの評価制度は間違っているんだよ!

などという話は結構あることです。

しかし、そのような中でも本当に愚直に、例えば給与テーブルや、評価の仕組みなど、色々な企業で経験をしてきたところがあるので、今回もその辺のポイントについてお話をしたいと思っています。

このブログを読むと、経営者の方が実際に人事評価というものを自分の会社に入れたいと思う時のポイントとして掴める部分もあるのではないかと思っています。

企業規模が大体30~100名くらいのところで、人事評価をそろそろ入れたいと思った会社があった時に今回の話は大変ポイントになる、ビンゴな話なのでぜひ最後までご覧下さい。

人事評価の5つのワナ

人事評価の5つのワナで、まず1つ目のワナが何かというと、まだまだ人数規模がそれほど大きくなっていない時にきちんとした人事評価を入れることについてです。入れたくなるのですが、そこで入れるとワナになってしまうという話です。

2つ目のワナは、評価をすればするほど社員のモチベーションが下がってしまうという問題のところの話です。

3つ目は、評価をする人と評価をされる人のそもそもの信頼関係がないという状態でやってしまうとこれはこれでどんどんワナになってしまうという話です。

4つ目は、評価と報酬をセットにしてしまうとフラストレーションの源泉になってしまうという話です。

5つ目は正しい評価というのは誰にもできないという話です。

今上げた5つの事は、どれも人事評価にまつわる色々なフラストレーションや上手くいかない課題感が詰まっているのがポイントです。

解説動画はこちら

会社の規模が小さい時は人事評価の効果は薄い

一つ一つ説明していきます。

1つ目のワナ「小規模での人事評価制度は無意味」についてです。

人数規模が少ないという時に、きちんとした評価制度を入れると基本的には上手く働かない、無意味になってしまうよ、というところのワナについてです。

人数規模が少ない時には、基本的にはスタートアップ、ベンチャーが多いと思うのですが、誇張抜きに時間単位、日単位でどんどん事業の状況が変わっていきます。

人事評価は、ある一定の期間の中で、その人に対して会社としてどういう風に評価しているのかというのがポイントになってくるので、この軸が余りにも変化が激しいのでどんどん変わってしまって定まらない、この状況できちんとした制度を入れるのは基本的には意味がないという状態になってしまいます。

人事評価を作った時点で既に過去の出来事になってしまいます。

過去の状態を反映させたものが置き去りのまま、会社の評価制度としてずっと残していってしまうというのは非常に多いケースです。

よくあるのが30名くらいの規模の時に作った人事評価を200名ぐらいになってからもずっと同じ制度を使っているということ。

基本的に状況も変わっているので社員からしても「なんかうちの会社の人事評価制度って全然私のことを全然見てくれていない」というところが散見してしまうようになります。

結果、評価制度に対する信頼感もなくなってしまいます。

これだと社内でシラけが起きてしまいます。

人数規模が少ない時にきちんとした制度を入れるのは、無意味な状況になってしまうというのが1つ目のワナになります。

評価するとモチベーションは下がる

2つ目のワナは「評価するとモチベーションは下がる」です。

評価すればするほどモチベーションが下がるという問題です。

これは1つ目の問題ともかなり絡んでくるのですが、評価をするということは最初の時点で目標を立てることになります。

問題は目標を立てた時に起きることです。

目標を変化が激しい環境の中で今から半年後に正確にどのような状況になっているのかというところを社員が見極められるかという点です。

ある程度のところでは見極められるのかもしれませんが、それを明確に持った上で目標を立てられるかというと、難しいと思います。

目標を立てるにも時間がかかるし、評価期間中に目標を更に見直してアップデートをしていく為にも上司との色々な話をしたり、それを見直す為の色々な仕組みも必要になったり、工数が必要になります。

その時間も日々忙しい中でやるとなると、なおさら時間が取れなくなります。

評価のタイミング、例えば半年後に、半年前に立てた目標を二人で見直しをします。


上司「君、こんな目標を立てていたんだね。」

メンバー「あぁ、私、こんな目標だったのですね。」


という会話がなされて、こう言われるのです。


「評価の期間だから評価しないとね。あなたはこの評価に対して期間中これだけ頑張ったかもしれないけれど目標はこれで、これに対しては達成していないからStayの評価、もしくはdownの評価だね。」


このようなやり取りになると「なぜですか!?」と当然に思うと思います。

このようにやればやるほど評価がモチベーションの下がる原因になってしまうので、そんなことならばやらない方がいいのでは、というのが2つ目のワナです。

信頼関係がないと成立しない

3つ目のワナは「信頼関係がないと成立しない」です。

評価する人と評価される人の信頼関係がそもそも成立していないと評価制度は機能しません、という話です。

評価される人は評価する人に対して「自分はこんなに頑張りました!ぜひ評価して下さい!」というアピールは結構難しかったりします。

しかし、それに対して評価する人は「君はこの期間にこんなことをやったので、こういう評価だね。」とやるのですが、評価される側からすると

「あなたは私の考え方とか仕事の仕方とか進め方とかを見ていなかったでしょう?」

という想いがあるのです。

そういう時に何が補完してくれるのか、というと人間関係、お互いの信頼関係が評価のバックグラウンドにあれば、そういったところの問題が解消されます。

すなわち、「きちんと君のことを見ています」、「この人は私のことを見てくれているな」、という関係値が存在していればこの人が最終的にどのような評価をしたとしても私は受け入れられるし、きちんと聞く姿勢ができます。

自分自身も評価する人に対して私はこういう風にやりました、しかし、こういったところは上手くいったけれど、こういったところは上手くいきませんでした、ということは信頼関係があればそのまま素直に言えたりするのです。

そもそもの信頼関係がないと人事評価制度は機能しないということです。

評価と報酬をセットにするとフラストレーションの元になる

4つ目のワナは「評価と報酬をセットにするとフラストレーションの元になる」です。

これがまた厄介です。

評価と報酬をセットにするとこれは基本的にスラストレーションしか溜まりません。

この問題は何かというと基本的に評価で出てきた評点というのは確かに基準ではあります、この人がこの期間にこの目標に対してこれくらい頑張った、というある程度の指標にはなります。

ただ、それを持って報酬にそのまま繋げてしまうというのは話が別になります。

目標はその人の生活にとって何も影響がありません。

仕事の進め方とかやり方とかやりがいは、働く上では関係してきますが、自分の生活には関係ありません。

ただ、報酬というのは別です。

個人の生活にも思いっきり絡んでくる話になります。

仕事と報酬をセットにされてしまうと、なかなか気持ちが納得できないことが出てきてしまいます。

もちろん、自分の生活をより良くしたいので報酬を上げたいと思うものです。

そうすると何が起こるのかというと、目標を達成する為だけに動く人が生まれてきてしまいます。

何か周りの人が困っている時に「あなたも手伝ってくれませんか?」と言われても「私はそれが報酬に関わらないのでやりません。」という形で言われてしまうと組織として機能していきません。

評価と報酬というのをセットでやり過ぎるとどんどんフラストレーションが溜まっていってしまうので、これは切り分けて考えた方がいいのではないかというのが私の考えです。

正しい評価は誰にもできない

5つ目のワナは「正しい評価は誰にもできない」です。

何となく分かっていると思うのですが、人が人を評価するということは基本的にはできないものです。

その人の色々な日々の体調の部分だったり、気持ちの部分だったり、人生のライフイベントだったり、その中で色々な浮き沈みがあるわけです。

もちろん、その日のテンションもあるでしょう。

結果が出る時もあれば出ない時もあるわけです。

その人の外面と内面も全て見定めた上で「あなたはこの期間これだけやったから正しい評価はこれです。」と下すことはできません。

最初に握っておくというのは非常に大事なのではないか、と思っています。

なぜかと言うと「人事評価とは正しさではなくて納得性」だからです。

いかに納得してもらえるのか、納得してもらう為に人間関係とか、日頃からのコミュニケーションとか、そういうものをきちんとやっておく必要性があるのです。

その仕事を通じて、案件だけで繋がっているのではなく、日頃から「最近どう?」「どういう風に今やっているの?」などのちょっとした雑談であるとか、人間関係をきちんと構築しながら人事評価というのをやっていく。

人事評価をある程度の人数になってから入れた方がいいよ、逆に入れない方がいいよ、という話をしているのではなくて、人間関係としての信頼関係があったり、そもそも正しい評価制度はないとか、そういうところをきちんと理解した上で、納得してもらう為にお互いの関係値とかコミュニケーションをどのようにとっていくのかということが前提にあることによって、人事評価が機能するポイントになってくると思います。

今回のまとめ

今回のまとめなのですが、人事評価の5つのワナというところの話をさせて頂きました。人事評価は色々な人にとって、つくる側も、それを受ける側も、経営としてそれを判断する側も、非常に悩ましいところに向き合うことになります。大抵の会社の人事評価をつくった人はボロカスに言われます。「なんでこんな制度をつくったんだ!!」「使いにくい!!」「機能していない!!」…etc。

しかし、大事なのはウェブサービスと同じ考えでどんどんアップデートしていくというところが一番のポイントなのではないかと思います。

人事評価に携わる方もこれから作る意思決定していく経営者の方も、そもそもはアップデートしていくものだよ、というところを捉えて頂けるともう少しハードルが下がると思っています。

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